近年、家に居ながら好きな時間に仕事ができる「内職」が人気になっています。大きな収入は見込めませんが、仕事をしているという充実感が生き生きとした人生につながります。
体に負担がかからず単純作業の多い内職は、高齢になってもできるものが数多くあります。
特に趣味を活かした内職は、作業そのものが楽しくなり、飽きることなく続けることができます。
高齢になってもできる内職の種類
定年後の余暇を利用したり、高齢になってもできる内職には、次のようなものがあります。
シール貼り
内職が初めてという方でも、簡単にできて取り組みやすいのがシール貼りです。
商品のパッケージや袋、ハガキや封筒などの指定された場所にシールを貼っていくだけですが、経験や資格も必要なく、座ったままできる作業なので、高齢になってからも続けることができます。
扱うシールは、商品のバーコードシールや訂正シール、賞味期限のシール、宛名が印刷されたシールなどですが、小さいシールはピンセットを使用してまっすぐ貼らなければならないので、ちょっと気を遣うかもしれません。
1枚あたりの単価相場は0.1円~2円くらいなので、稼ぐためには作業手順を工夫して数をこなす必要があります。
値札付け・値札カット
値札付けは、機械では付けづらい靴下などの小物商品やアクセサリーなどに値札を付けて行く内職です。
穴の開いた値札に糸を通して商品につけたり、値札の糸の端部を玉結びにしたりする作業で、慣れてくるとテレビを見ながらでもできます。
商品の状態を確認する検品も同時に行う場合がありますが、単価相場は0.75円~5円となっています。
値札カットは、大きなシートになっている値札をハサミやカッターで切る作業が主で、決められたサイズに切るのがやや難しいため、単価は少し高めの40円ほどになっています。
ティッシュの広告入れ
駅前や街頭で配ったりポスティングするポケットティッシュに、企業やお店の広告を入れて行く内職です。
細かい作業でもなく、ひたすら広告を入れて行くだけなので、ラジオを聴いたりテレビを見ながらの作業も可能で、高齢になっても無理なくこなすことができます。
ただし、単価は1個0.3円~1円と低報酬なので、収入を上げるには数をこなす必要があります。
また、仕事の依頼は数千個単位になることもあるので、そのような場合はティッシュを置いておくスペースが必要になります。
袋詰め
指定された商品を袋に詰めて行く内職で、商品には、おもちゃ、菓子、石けん、アクセサリー、絵はがき、便箋、ネジなど、色々なものがあります。
数を揃えて入れたり、重さをはかったり、商品の種類を分けて入れたり、シール貼りとセットになっているものもあります。
作業自体は単純なので高齢になってもできますが、細かいアクセサリー類の袋詰めは、ちょっと気を遣うかもしれません。
単価は1円~20円程度と、詰めて行く商品により幅があります。
また、大き目の商品は、段ボールに詰める時に体力が必要になったり、置いておくためのスペースが必要になります。
野菜・果物の皮むき
野菜や果物の生産地付近で、昔から行われている内職です。
栗の皮むき、干し柿の皮むき、にんにくの皮むき、ネギの皮むき、玉ねぎの皮むきなどがありますが、季節により募集は限られます。
皮をむくだけの簡単な仕事なので、手先の器用な方や料理好きな方におすすめですが、泥付きの野菜などは作業場所が汚れる事、数がまとまると重い事などを考慮しておく必要があります。
生産者からの直接依頼や、加工業者からの依頼、飲食店からの依頼などがあり、自分から野菜や果物を直接取りに行く場合と、先方が運んでくれる場合とがあります。
単価は品物により異なりますが、1キロで400円、段ボール1箱で500円といった決め方をしているところが多いようです。
カプセル詰め
カプセル詰めとは、子供たちに人気のガチャガチャに、景品のおもちゃや説明書を詰めて行く内職です。
昨今では、大人向けのフィギュアやキーホルダー、くじ引きなどが入っているガチャガチャも増えています。
カプセルのフタを閉める時の力加減がやや難しいものの、同じことを繰り返すだけなので、コツを覚えてしまえば多少不器用な人でも可能な仕事です。
また、作業をしながら中に詰めるものを見られるので、楽しい気分でできるのがこの内職のメリットと言えます。
1個あたりの作業単価は0.5円~1円ぐらいと低めですが、慣れてくれば効率よく詰められるようになり、収入を上げることができます。
紙製品の加工
三角くじ、祝儀袋、紙袋、絵本のパーツなどの紙製品を、手作業で折ったり組み立てたりして完成させて行く内職です。
誰でもできる簡単なものから、祝儀袋のように複雑で難しいものもありますが、手先が器用で細かい作業が苦にならない方なら、やりがいのある内職と言えます。
単価は、1円~100円程度と幅がありますが、作業工程が難しいものほど高めになります。
箱折り・箱の組み立て
商品を入れる箱を折ったり組み立てたりする内職で、素材は紙製のものやプラスティック製のものがあります。
中に入れる商品は、タオルやお菓子、化粧品、石けん、お茶、各種贈答品など色々ですが、箱の大きさや種類も色々です。また、商品を中に詰めるまでの作業依頼も多くなっています。
単価は1円~20円ほどですが、箱の種類や組み立て方の複雑さによって金額が変わります。
箱折り・箱の組み立ての内職は、かさばる商品が多いため、完成品を置いておくためのスペースが必要になるほか、自分で品物を取りに行き納品する場合と、依頼主が家まで集荷してくれる場合とがあります。
小物商品の組立
ボールペン、シャープペンシル、ライターなどの小物商品を組み立てて行く内職です。
それぞれの部品がバラバラの状態で届き、それを手順に沿って組み立てて行きますが、簡単にできるものから複雑なものまで、色々あります。
あまり場所を取らず、座ったままで作業ができるので、手先が器用な方なら高齢になってからもできます。
単価は0.5円~2円とあまり高くはありませんが、組み立て方を工夫して効率的にできるようすれば、収入アップが期待できます。
電子部品のネジ留め・ハンダ付け
昔からある内職で、電気製品や自動車などに使用する電子機器のネジ留めやハンダ付けが主な作業になります。
電動ドライバーを使用することが多いネジ留めは、コツを覚えれば初心者でも可能かもしれませんが、精密機器のハンダ付けは、ある程度の知識と技術を必要とするので、経験者におすすめです。
単価は、簡単なものは0.5円~3円ほどですが、難易度の高いハンダ付けは、1個10円~50円くらいになるものもあります。
また、電子部品のネジ留め・ハンダ付けの内職は、専用の工具や電源、作業台などが必要になる場合があります。
宛名書き・賞状書き
筆で文字を書く事が好きな方や、「賞状書士」、「賞状技法士」などの資格を持っている方におすすめの内職です。
近年では、手軽にパソコンで作成し印刷することが可能になっているため、宛名書きや賞状書きの仕事そのものが減少していますが、手描きの文字には印刷文字にはない味わいと威厳があるため、まだまだ需要があります。
単価は、ハガキや封筒の宛名書きなら1枚あたり3~5円、賞状なら全文で1枚2000円~5000円、名前だけなら200円ほどとなっています。
書字系の資格を持っていると、仕事を優先的にもらえたり、単価が上がったりする可能性があるため、「賞状書士」や「賞状技法士」などの通信講座を受講し、講座終了後に仕事を斡旋してもらうという方法もあります。
アクセサリー作り
アクセサリー作りは、特に女性に人気の内職で、ネックレスやピアス、ブレスレット、ビーズストラップ、ネイルチップ、ミサンガ、ヘアゴム、シュシュなどを手作業で作る仕事です。
製作に必要な素材を依頼主から受け取り、見本を見ながら手順に沿って組み立てて行きますが、ひととおり覚えるまでは時間がかかるかもしれません。
単価は、10円~100円と幅がありますが、組み立てが複雑なものほど高単価になります。
アクセサリー作りの内職は、元々ハンドメイドが好きな人にとっては、とても魅力的な仕事であり、作業をしながら作り方をマスターできるというメリットもあります。
縫製・針仕事
工業用ミシンの使用経験がある方は、比較的単価の高い縫製の内職で稼ぐことが可能です。
直線縫いの簡単なものなら単価10円前後ですが、婦人服や紳士服など技術を要するものは1着1000円~8000円になる場合もあり、経験が豊富な人ほど高単価の仕事を受注できます。
また、ボタン付けやホック付け、ベルト通し、肩パットの縫いつけ、糸切りなど、手作業でしかできない「まとめ内職」は、縫製の経験がない人でもできるものが多くありますが、単価10円~70円くらいとなっています。
他にも、洋服のサイズ直し、刺繍やかけはぎ、ペットの洋服作り、和裁など、特殊な技術を要するものほど高単価になっていますが、取引先との信頼関係が築ければ、高齢になっても仕事を続けることができます。
内職の探し方
内職を探すには、次のような方法があります。
友人・知人に紹介してもらう
最も確実な方法は、すでにその内職をやっている友人や知人に紹介してもらうことです。
依頼主がどんな人か、十分な仕事量はあるかどうか、収入はどのくらいかなどが大まかにわかるため、安心感があります。
地域の新聞や情報誌をチェックする
お住まいの地域で発行している新聞や情報誌で、内職の求人募集がないかどうかチェックしてみてください。
地域限定の募集が主になりますが、募集している企業名や連絡先が明記されているので、気になる仕事があれば問い合わせてみましょう。
ハローワークの求人情報をチェックする
ハローワークでは、内職の斡旋は行っていませんが、「在宅勤務」「業務委託」という形で内職を募集していることがあります。
現在は、ハローワークの求人情報はネットでも見られるようになっているので、お住いの地域のハローワークのサイトで、求人情報をチェックしてみてください。
都道府県の窓口に問い合わせる
多くの地方自治体では、内職の相談窓口を設けて仕事を斡旋しています。
お住いの地域の市役所や区役所などのホームページを確認するか、または電話で問い合わせてみてください。
インターネットで検索する
インターネットで「地域名 内職」、「シール貼り 内職」などのキーワードで検索すると、数多くの求人情報を入手することができます。
ただし、中には応募者からお金をだまし取ろうとする悪質な業者もいるので、十分な注意が必要です。
「初期費用」「材料費」「講習料」「登録料」などと称して、仕事を始める前に何らかの費用を請求してくる場合は、内職詐欺の可能性があります。
インターネットで探した内職先に応募する場合は、住所検索や電話をかけて実在する会社であるかどうかを確認するとともに、その会社の評判や口コミなどを調べてからにしましょう。